今年もよろしくお願いいたします。
◆KY法の種類と特許化の現状:
The kind of KY method, and the present condition of their patents
KY法が最初に開発され、学会で発表したのが2006年でしたので、あれこれで既に6年程経ちました。最初のKY法(2モデル判別分析)に関する特許が認可されたのが昨年でしたので、特許化には5年ほどかかっていることになります。既にKY法を知っている方々はKY法として判別分析(二クラス分類)手法が3種類、また重回帰(フィッティング)手法として3種類で、総計6種類あることはご存知かと思います。既に最初のKY法以外にも幾つか特許の認可が下りてきました。今後、残るKY法も順番に特許として認可されるものと考えます。
◆比類なき分類能力を実現するための工夫(手順の違いによる新規データ解析手法):
The trick for realizing the highest classification capability
KY法はその生い立ちから、従来からのデータ解析手法では実現できないような極めて分類が困難なサンプルセットであっても、高い分類率で分けることを目指して開発されたものでした。このために、従来手法には考えられない手順を採用していました。一つは、一回で無理に分けることを完結させず、少しずつ分類を繰り返して全サンプルの分類を完了させるという、段階的な分類操作を取り入れたこと。残る一つが、サンプル分類を2グループの他に、その時点では分類出来ないサンプル群(グレイゾーン)の3グループに分けたことです。この、分類決定出来ないサンプル群を集めて、再び先の繰り返し分類を行ない、全てのサンプル群が分割できてグレイゾーンに帰属するサンプルが無くなるまで分類を繰り返し実施するの二点です。
*ここでは二クラス分類用のKY法について述べています。重回帰(フィッティング)用のKY法は、KY法としての基本的考えは同じですが、若干手続きが異なります。
◆KY法は「メタ手法」です:The KY method is the "meta-method"
KY法のデータ解析エンジンは従来から展開されている手法をそのまま利用します。なのに、従来手法とは比較にならない分類能力を示すのは、先に述べましたように、単に操作手順が異なるだけなのです。従って、KY法はデータ解析手法としては全く新しいデータ解析アルゴリズムや理論、あるいはデータ解析エンジンを備えたものではありません。この点で、データ解析の専門研究者には面白くないかもしれませんが、実用目的に考えた場合はこれほど素晴らしいものはありません。また、メタ手法であるがために、今後新たに開発されるデータ解析手法も次々と組み合わせ、単体では実現困難なことを実現させて、さらに発展する事が可能となるのです。
◆KY法の中で利用される従来手法は何でも利用可能であり、その組み合わせも自由です:
The any conventional data analysis methods can be used in the KY method, and the combination of them are also available.
KY法は従来手法のデータ解析エンジンを用いてデータ解析を行ないますが、用いる時のデータ解析手法の種類や組み合わせは全く自由です。例えば、二本の予測モデルを用いる2モデル判別分析KY法では、モデル毎にデータ解析手法を変えることが可能です。従って、一本はSVMで構築し、もう一本はBayes判別分析で構築する、あるいはその他のニューラルネットワーク等を用いてもかまいません。さらには、多段階手順を取る時に、段階(ステップ)毎に個別の判別分析手法を適用する事が可能です。このようにKY法で利用される判別分析手法の種類の組み合わせの自由度は極めて高くなっています。
文責: 株式会社 インシリコデータ 湯田 浩太郎