2012/05/07

2モデルKY法(二クラス分類手法)の実施原理(1/3):Execution process of '2 Model KY-method for binary classification' (1/3)

◆ 2モデルKY法(二クラス分類)の基本原理について書きます(1/3)。

 Detailed execution process of the '2 model KY method for binary classification' will be discussed and explained hear (1/3)

 1.「KY法」の基本原理について簡単にまとめます
     データ解析手法的に「KY法」は大きく二クラス分類手法とフィッティング(重回帰)手法に分かれます。それぞれに複数のアプローチがあり、現時点では二クラス分類手法として3種類のアプローチが、またフィッティング手法として3種類のアプローチがあります。
      これらの手法は全て従来より展開されているデータ解析手法を用いて展開することが可能です。従って、特に「KY法」として全く新しいソフトウエアが必要というわけではありません。しかし、従来のデータ解析手法を「KY法」の計算エンジンとして使う場合には少し特殊な使い方が必要となります。ここでは、従来手法を「KY法」の基本的な考え方や手順等について簡単にまとめます。この説明後に「KY法」を実施する具体的な手順を紹介いたします。
      「KY法」にはいくつものアプローチがあると申しましたが、ここで説明する「KY法」はクラス分類特性が互いに正反対の関係にある二本のモデル(判別関数)を用いて行う二クラス分類手法です。他の「KY法」と区別するため、「2モデルKY法(二クラス分類)」として説明いたします。

      ここで述べる「2モデルKY法」の詳しい実行手順は米国特許および日本特許にて詳細に述べてありますので、そちらを参照してもらえば2モデルKY法の実行が可能であり、強力な分類結果を実感できます。手順が分かれば、従来手法では分類出来なかったサンプル群等に適用いただければ常に100%分類が実現されます。
      KY法は開発されたばかりで、データ解析事例は現時点で2例しかありません。従って現在は、Journalへの投稿や学会等での発表もしやすい環境にあります。発表にあたっては、KY法の実施過程での感想や評価も加えれば、今後のKY法展開の支えとなるでしょう。

1.二本のモデル(判別関数)によるサンプル空間の3領域への分割と、二本のモデル(判別関数)の分類特性の違いについて

1.1 「2モデルKY法」で用いられるAPおよびANの二本のモデル(判別関数)の分類特性

     従来の判別分析に用いられるモデル(判別関数)は一本だけでした。しかし、「KY法」では二本のモデル(判別関数)を利用します。しかもこれら二本のモデルはポジおよびネガクラスサンプルに対する分類特性が正反対(ANモデル(ネガサンプルの100%分類のみ保障)、APモデル(ポジサンプルの100%分類のみ保障))という特殊なものです。

  ポジとネガのサンプルによる二クラス分類に「KY法」を適用する場合について述べる。
      「KY法」実施の第一ステップとして、左図からわかるように、ポジ領域とネガ領域の他にポジとネガサンプルが混在する領域(グレー領域)の3つの異なるサンプル空間に分ける事が必要である。この3領域への分割のために利用される二種類の判別関数(AP:All PositiveおよびAN:All Negative)は、分類目的であるポジとネガサンプルに対する分類特性が全く正反対のものを利用します。このように、KY法の実施には二本の特殊なモデル(判別関数)を構築することが必要です。

      通常の多変量解析/パターン認識手法を用いて二クラス分類を行うと、創出される判別関数は両方のクラスを最も効率よく分類する判別関数を構築します。

  つまり、もともとのN次元サンプル空間が完全に二つに分割されているならば、判別関数は二つのクラスサンプルを2分割するきれいな識別線を引いてくれます。
しかし、サンプル数が増えたり、あるいはクラスサンプル同士がサンプル空間上で大きく重複している場合、創出される判別関数は左の図にあるようにポジとネガが重複している空間上に引かれることになります。 このような状態では、100%(完全)分類を実現することは極めて困難です。


     このような事実から、全体のサンプル空間の両端にあるクラス間重複のない二つのサンプル空間と重複している空間(グレー空間と呼び、この空間に存在するサンプルのクラス決定は行わない)を分けることで、両端のサンプル群について100%(完全)分類を実現する。これがKY法の大きな二本の柱のうちの一つです。
  左図にあるようにAN(All Negative)モデルは、全てのネガ(図中X)サンプルを100%正しく分類(赤いANモデル線の右側の空間)します。しかし、このANモデルはポジ(図中O)サンプルの分類に関してはなにも保証していません。それどころか、ネガサンプルの完全分類保障のためにANモデルの位置はネガサンプル領域どころか、ネガとポジサンプルの重複区間の端まで移動しています。この結果、ポジサンプルに関しての分類率は極端に低くなります。
     すなわち、ANモデルはネガサンプルのみの完全分類を保証するモデル(判別関数)であって、ポジサンプルの保証は行わないという偏ったクラス分類特性を有するモデルです。
    ポジとネガの二種類のサンプル群から構成されるサンプル空間の分類には、上図でしめされるようなネガサンプルだけの分類保障だけでは不十分で、もうひとつのクラスであるポジサンプル群についても完全分類を保証することが必要となります。このポジ(図中O)サンプルの分類を保証するものがAP(All Positive)モデルです。
  左図は、先のANモデルを説明した時に用いたサンプル空間を用いてAPモデルを構築した時のAPモデル(図中青い線)の様子が示されています。
  左図からもわかりますように、、ポジサンプル(図中O)については100%完全分類を保証(青いAPモデル線の左側の空間)するが、ネガサンプルについての分類はなにも保証しません。
      即ちAPモデル(判別関数)とは、ポジサンプルの100%(完全)分類を保証しますがネガサンプルの分類は保証しないという分類特性を有し、この分類特性はANモデルと正反対の特性となります。

      以上の基本からわかりますように、「2モデルKY法(二クラス分類)」の最大の特徴は、モデル(判別関数)の分類特性が正反対のものを二本用いて分類することにあります。このアプローチは、 従来手法では一本のモデル(判別関数)のみを用いて全サンプルを分類していたものとは全く異なっています。
      この、互いに分類特性の異なる二本のモデル(判別関数)を構築する基本原理と具体的手順は次に(2/3)説明いたします。
      「KY法」が従来手法と異なるもう一つの特徴は、サンプル分類過程で繰り返し分類(学習のための繰り返し計算ではありません)を行う事です。これは、3/3でまとめます。

2012/04/08

KY法は常に疑いの目で見られます:The KY method is always seen with the eyes of the suspition

◆「KY法」は常に「眉唾な話」という感じで見られます:

The KY method is always regarded as the "fishy story talk"


    残念ですが「KY法」による100%完全分類の実験結果について発表すると、「KY法」を初めて聞かれた方々には常に「うさんくさい話」として受け止められます。実際、何十年と化学データ解析を行ってきた私自身もこの「KY法」を用いて約7000ものAmes試験サンプルの完全分類が出来た時には、思わずこれは奇跡か単なる偶然に過ぎないと思いました。そこで、何度も検証しましたが、完全分類は事実でした。
    もし私も「KY法」の開発者でなく、一般の立場でこの解析結果を聞けば、やはり他の研究者同様に疑いの眼を持ってしまうでしょう。なぜならば、私も安全性研究分野での100%(完全)分類実現の難しさを骨にしみるほど体験しているので・・・。こんなことあるはずがない・・・と。

*ある人からのアドバイス:Advice from a certain person
    私をよく知った親切な方は次のようにアドバイスしてくれました。「湯田さん、7000ものAmes試験サンプルを100%完全分類したなんて発表したら、聴いた人たちはだれも信用しません。眉唾と思われるだけですよ。少し値を落として95%から98%と発表した方がみなさん興味を持ってついてくると思います」と忠告してくれました。このように「KY法」は、その実行結果だけを聴いた直後は、データ解析を知っている人も知らない人も一様に「信じられない話で、眉唾な話」と思いこんでしまうようです。無理もありませんが・・・。

*事実を検証してこそ科学:It is science just by verifying the facts
    しかし、「KY法」を用いることで常に100%完全分類を達成できることは事実です。従来の常識に捕らわれて嘘を発表する事はできません。話を信じるか信じないかは、聴いた本人の問題と思います。しかし、「KY法」の解析結果を聴いて「眉唾な話」としてとらえること自体は、自分の常識や価値観から抜け出られないことの証であり、常に実験事実を優先して物事を冷静に考えることが科学者の務めであるはずなのに、本当に残念です。

*疑いの目で見られることは、「KY法」のすごさの証明:
 Seeing by the eye of doubt is the proof of the dreadfulness of the "KY methods"
    これだけ疑いの目で見られるという事実は、「KY法」の結果が従来手法と比較して信じられないレベルの高い結果を出していることの間接的な証拠と考えます。Ames試験での「KY法」適用に続き、約600化合物を用いた皮膚感作性評価実験でも100%(完全)分類を実現しました。この皮膚感作性データを用いた実験は、サンプル数が少ない時(214化合物)は従来からの多変量解析/パターン認識手法でも100%(TILSQ,AdaBoost)から99.5%の分類率を達成したのですが、サンプル数が多くなった(593化合物)時点で完全分類や高い分類率を実現することが出来なくなりました。そこで、開発早々の「KY法」を適用したところ100%(完全)分類が実現されました。これは、「KY法」の二番目の適用事例となります。

◆実現不可能を可能にした「KY法」:
    The "KY methods" made realize from impossible to possible
   安全性評価研究分野では、約7000にも及ぶ大きな数(実際には数が大きいだけではなく、扱う化合物の構造変化性が極めて高い)のサンプル群を、変異原性「ポジ」および「ネガ」の二クラスに完全分類することは「夢のまた夢」というくらいに難しい仕事で、殆ど不可能と考えられてきました。私も、仕事上の関係で様々な多変量解析/パターン認識手法を駆使し、パラメータ等を創意工夫し、サンプリング等を変えながら何度もチャレンジしてきました。この結果、従来手法での完全分類は実現不可能との結論に至り、100%は無理であっても、如何にして高い値を実現するかというように目標を変えて実験してきました。しかし「KY法」を用いることで、不可能と考えていた100%(完全)分類が実現したのです。

*「KY法」の常識はずれといえる機能:
   The "KY methods" is far beyond common sence of multivariate and pattern recognition methods
    「KY法」がうさんくさい手法として見られるのは、その分類結果(二クラス分類)や相関係数/決定係数(重回帰:フィッティング)結果が従来からの多変量解析/パターン認識の常識を覆す程高い値を示すためです。その従来からの常識とは以下の二点です。

データ解析の常識1:サンプル数が大きくなるほど分類率は下がる
Common sense1:A classification rate falls, so that the number of samples is large.
↓↓↓↓↓↓
KY法の能力1⇒サンプル数が大きくなっても常に完全分類実現
Power of the KY-methods⇒Even if the number of samples becomes large, perfect classification is always realized.


データ解析の常識2:クラス間重なりの大きなサンプル群を完全分類するのは極めて困難か不可能
Common sense2: It must be impossible to carry out perfect classification on the big sample space which have large overlapping space of two classes.
↓↓↓↓↓↓
KY法の能力2⇒たとえどんなにクラス間のオーバーラップが強くとも、完全分類実現
Power of the KY-methods⇒A perfect classification is realized even if class samples are highly overlapped.


   「KY法」の実施基本原理から容易にわかりますが、「KY法」を用いれば、サンプル数がどんなに大きくなっても100%完全分類が実現します。この事実は、先の常識1を覆すものです。また、たとえサンプル数が少なくとも、クラス間の重複度が高い場合は従来手法では完全分類出来ないのですが、両サイドの空間に単一クラスサンプルのみが存在する空間がある限り、必ず完全分類が実現されます。この事実は常識2を無効にしてしまう事実です。

    既に、「KY法」の適用事例で言うならば(二クラス分類)、常識1を覆す事実に関しては7000のAmes試験サンプルを用いた実験結果が証明しています。常識2を覆す事実はサンプル数はさほど大きくありませんが、約600の皮膚感作性試験の完全分類実現で証明されています。

2012/04/07

「KY法」の実行はどのようにしますか:How to execute the 'KY-methods' ?

「KY法」は、従来の多変量解析/パターン認識のソフトを用いて実行可能です:If there is software of the multivariate analysis / pattern recognition, it is easy to carry out the "KY-methods"


◆「KY法」はメタ手法なので、従来からのデータ解析ソフト上で実行できます:
    Since the "KY method" is the meta-method, it can perform on normal data analysis soft.
  
   先にも書きましたように、「KY法」は従来から展開されてきた多変量解析/パターン認識手法を計算エンジンとして利用する「メタ手法」です。従って、「KY法」として全く新しいデータ解析ソフトウエアを必要とするわけではありません。従来から展開されている多変量解析/パターン認識ソフトウエアを使って「KY法」を実行することが可能です。

◆「SVM」や「N.N.」等の専門ソフトが必要なわけではなく、これらのソフトを利用して「KY法」を実行することが可能です:
   Special software, such as "SVM" and "N. N.", is not necessarily required, and it is possible to perform the "KY method" using these software.

   例えば、「SVM:サポートベクターマシン(Support Vector Machine)」を実行するためにはSVMを実行するSVMソフトが必要です。同様に、「N.N.:ニューラルネットワーク(Neural Network)」の実行にはニューラルネットワークの実行ソフトが必要です。このように、新しいデータ解析手法には、それ専用のソフトが必要となります。しかし、「KY法」の実施に「KY法」のソフトが必要となるわけではありません。これらのソフトウエア(「SVM」、「N.N.」、「AdaBoost」、その他)を用いて「KY法」を実施します。現時点で「KY法」の専門ソフトウエアはありません。

◆「KY法」による二クラス分類で利用する判別関数は、従来手法を用いて構築します:
   The discriminant function used by the "KY method of binary classification" is built using the conventional technique.

    「KY法」自体は全体として新しいデータ解析手法ですが、「メタ手法」ですので従来からのデータ解析手法を用いて展開されます。従って、特に新しいソフトが必要になるわけではありません。例えば、二クラス分類を行う時、「KY法」で必要となる判別関数は、線形判別関数であるならば従来からのBayes判別分析やその他を利用することも出来るし、非線形判別関数であるならばSVMやN.N.を用いて判別関数を作成することが可能です。同じ「メタ手法」とされるAdaBoostを用いることも可能です。さらには、一つの「KY法」の中で線形/非線形判別関数を混在して用いることも可能です。いずれにしても、従来から展開されている多変量解析/パターン認識が実行できるソフトがあれば「KY法」を実行できます。

◆「KY法」の展開に必要な情報が従来手法のソフト上で扱える事が必要です:
   It is required to be able to treat information which were required for executing the "KY method" on the conventional software.

     従来からのデータ解析手法を用いた場合は、「KY法」の実施時に必要な関連情報を扱う事が可能であることが「KY法」を実施するための必須条件となります。この条件が揃えば、操作上での多少の煩雑さは出てきますが、従来手法のデータ解析ソフトを用いて「KY法」を実行することが可能となります。現に私も、「KY法」の専用ソフトを使っているわけではなく、化学データ解析用に開発された汎用的なデータ解析ソフトウエアを用いて「KY法」を実行しています。

◆従来手法を用いての「KY法」の実施は、解析手順の変更で実現します:
  The "KY method", using the conventional technique, is realized by change of an analysis process.

    このように、「KY法」の実行に専用ソフトが必要となるわけではありません。従来からの多変量解析/パターン認識手法を「KY法」に利用する場合は解析手順の変更が必要です。この手順の実施に多少複雑な操作が必要となりますが、一度操作手順を覚えれば「KY法」の実行をルーチンワーク的に実施出来ます。

◆「KY法」の専門ソフト: Special software of the "KY method".

     将来的に「KY法」の専門ソフトが出来るのは時間の問題と考えます。「KY法」の専門ソフトは、従来手法のソフトを用いて「KY法」を実行する時の手順の煩雑さが少ないソフトとして展開されるでしょう。

2012/04/06

KY法は全く新しい方法?:Is the KY-methods completely new approach?

KY法は「メタ手法」です:KY-methods are the meta-methods


KY法の基本は従来からの多変量解析/パターン認識手法です。しかし、サンプル空間の扱いと、その手順に根本的な差異があります。

     「 KY法」は全く新しい考えに基づいた多変量解析/パターン認識手法です。しかし、KY法の基本は従来から展開されている一般的な多変量解析/パターン認識手法を利用しています。二クラス分類における判別関数の構築や、重回帰等のフィッティング手法における回帰式等の構築はすべて従来から展開されてきた手法を用いており、全く新しいアルゴリズムを用いているわけではありません。従って、KY法は従来の多変量解析/パターン認識技術を基本として展開される「メタ手法」となります。
       では、KY法が全く新しい多変量解析/パターン認識手法であり、適用結果が従来手法と比較して根本的に異なる高い精度を実現するのはなぜでしょうか。それは、サンプル空間の有するサンプル分布特性を利用するためです。この目的を実現するためにKY法は、従来からの多変量解析/パターン認識手法を利用(判別関数や重回帰式の構築)はしますが、そのデータ解析手法の運用方法(特にサンプル空間の扱い解析手順)が従来手法と比較して根本から異なっている点にあります。

      データ解析運用方法が異なる大きな点(特徴)は以下の二点につきます。

1.サンプル空間の分類や設定が従来手法と異なる。

(a)ニクラス分類:二クラスではあるが三グループにサンプル空間を分割する

・KY法ではサンプル空間が3グループ(ポジ/ネガ/グレー)に分割される

KY法にて、全サンプル群がポジ(O)サンプル領域とネガ(X)サンプル領域、およびグレー(OとXが混在し、クラス決定が出来ない)サンプル領域との3領域に分割される様子。
二クラス分類の時、分類結果のサンプル空間を見ると、常にその両端は混在のないきれいな個別クラスのサンプル群で構成されている。
分類を妨げている語分類サンプル群は常にサンプル空間の真ん中の位置周辺に位置している。
・従来手法は2グループ(ポジ/ネガ)のみに分割される

従来手法による二クラス分類は、全サンプル群をポジ(O)サンプル領域とネガ(X)サンプル領域の二つのグループに分割しようとして判別関数を構築する。このために、サンプル空間上でポジおよびネガサンプルが混在する空間が残った場合、この混在空間を線形判別関数で分類することは殆ど不可能である。また、強力な分類機である、非線形分類手法を用いても完全分類することは困難である。


(b)重回帰(フィッティング):サンプル空間を残差値の大きさに従ってグループ分けする

・KY法では残差の小さいグループと残差の大きなグループの二つに分ける
・従来手法では、残差値の大小によるサンプル群のグループ分けは行わない

2.計算実行のプロセス

(a)二クラス分類:
・KY法ではサンプルグループ単位での繰り返し計算を行い、これを完全分類実現まで行う

     クラス決定の出来なかったサンプルグループ(グレーサンプル)を初期サンプルセットとして新たにサンプル空間を作り直し、再び分類 計算を行う。この操作を繰り返し、最終的に全サンプルが完全(100%)分類されるまで何度も行う。最終回の分類は、1本の判別関数を用いて実行する通常の形式での二クラス分類となる。以上の操作により、KY法ではサンプル数がどんなに多い場合でも、またクラス間重なりが激しいサンプル空間であっても常に完全分類が実現される。なお、最終ステップは一本の判別関数による通常の判別分類が実施される。
・従来手法では、分類計算は一回のみ実施。

ポジおよびネガサンプルの重なり状態が高くなったり、サンプル数が多くなるにつれて、一回だけの計算で全サンプルを完全(100%)分類することは困難か殆ど不可能となる。
左図は、完全分類を目指して線形および非線形判別関数をいくつも創出している様子を示す。このように、一回限りの分類操作では、異なるクラスのサンプル群が混在する状況を克服して完全分類することは極めて困難であることが分かる。


(b)重回帰(フィッティング):
・KY法では、サンプルグループ単位あるいはサンプル単体での繰り返し計算を行う
・従来手法では全サンプルを用いた一回のみの計算である

       以上の二点がKY法と従来手法による多変量解析/パターン認識との操作上での大きな違いです。KY法の実施にあたり、判別関数や回帰式の構築は従来からの多変量解析/パターン認識手法を用いていることがわかります。KY法は従来からの多変量解析/パターン認識手法を基本としながら、その運用方法をガラッと変えること(すなわち「メタ手法」であっても)、従来手法とは比較にならない程の高い解析精度を実現することになります。

◆「KY法」はメタ手法:従来からのデータ解析ソフトウエアを用いての実行が可能

      KY法は「メタ手法」なので、基本的な運用方法さえ理解されれば従来からの多変量解析/パターン認識の解析ソフトウエアを用いての実行が可能です。KY法専用のソフトウエアが必要というわけではありません。現に私も、KY法のソフトウエアとして特別に開発されたソフト(残念ですが、現在は存在しません)を用いているわけではなく、一般のデータ解析目的で作成された、従来手法による多変量解析/パターン認識のソフトウエアを用いてKY法を実施しています。このような身軽さがKY法の隠れたもう一つの利点です。

2012/03/05

◇ 安全性(毒性)評価/予測の困難性について: Difficulty of Toxicity prediction

◇安全性(毒性)研究分野での評価や予測の困難性は極大である:  The toxicity prediction research is one of the most difficult thema of data analysis approaches

私は、構造-活性相関や構造-物性相関を多年にわたり実施してきましたが、安全性(毒性)分野における評価や予測の困難さは飛びぬけて難しいという事を実感しています。通常の薬理活性を目的変数とした解析と、安全性(毒性)を目的変数とした解析では、研究を行うための環境が全く異なり、果てには研究分野全体の思想までが全く異なっているという事を実感してきました。

インシリコ上で安全性(毒性)評価や予測を行う時に大きな問題となる項目を以下に示しました。これは薬理活性の評価や予測を行うときには見られない大きな差異となります。

1.評価や予測対象となる化合物の構造変化性が極めて高い
   ( Structural diversity of used compounds are extremely high )

2.扱うサンプル数が大きくなる
   ( Ordinaly, the number of compounds becomes extremely big )

3.高い評価信頼性や予測性が求められる
   ( Extremely high evaluation reliability and predictive values are strongly required ) 

これらの項目を薬理活性を比較対象として考えてみます。

最初の1番ですが、これが安全性(毒性)予測の最大の特徴であり、この点がインシリコ上での評価や予測を薬理活性分野とは異なり、極めて難しくしている点となります。
薬理活性分野では、評価や予測対象化合物は基本的に誘導体(構造が似ているもの)を中心として展開されます。この誘導体の中で、薬理活性を最適化させてゆくことが中心となります。しかし安全性(毒性)分野で扱う化合物は、原則すべての化合物が評価や予測の対象とすることが求められます。従って、非常に簡単な構造を持つ化物から構造が極めて複雑な化合物までもが同じ土俵上で評価、予測対象とすることが必要です。この結果、メタンエタンのような極めて構造が簡単なものから、テルペン、ステロイド、糖といったより構造が複雑なもの、さらにはマクロライドのような極めて構造の複雑なものまで同じ土俵上で評価、予測する事が必要です。この結果、評価と予測対象となる化合物の構造変化性は極大となります。
一般的に、インシリコ上での化合物評価や予測は構造変化性が高くなるほど難しくなることが分かっています。この点で、安全性(毒性)に関するインシリコ上での評価や予測が極めて実施困難であることは明白です。

次の2番目の項目ですが、基本的に安全性(毒性)の評価や予測対象となる化合物はすべての化合物となります。従って、データ解析で扱うサンプル数は薬理活性分野の研究と異なり、簡単に大きくなります。統計分野はちょっと異なりますが、いわゆる多変量解析/パターン認識ではデータ(要因)解析の特性が強いため、サンプル数が大きくなるほどノイズも増えてくるため、データ解析実施の困難性が急速に増してきます。
現在はサンプル数が大きい場合の解析手法としてデータマイニング等が開発されていますが、いわゆる「トレンド解析」的なもので、安全性(毒性)分野のように、サンプル数が増えてもその精度は高いものが要求されるという逼迫した要求にこたえるものではありません。データマイニングが目指すトレンド解析も重要なテーマですが、安全性(毒性)評価や予測分野で求められる高い精度への要求に答えることを目指して開発された手法ではありません。

三番目の項目の高い評価信頼性や予測性という事も、インシリコによる安全性(毒性)評価や予測では極めて高いハードルとなります。もともと、第一と第二項目で示しましたようにインシリコ上での評価や予測が実施困難であるのに、この値に関しては安全性(毒性)分野では可能な限り高い値が求められます。
これに対して、薬理活性評価や予測分野ではそれほど高い値は求められません。これらの値は、議論が出来る、保障されるレベルの高さであればよいと思われています。むしろ要因解析結果で、薬理活性に関する説明がきちっと出来ていることの方が大事です。データ解析による評価値や予測値は参考レベルで構わず、むしろ、次のドラグデザインにつながる、参考情報がきちっと論じられることの方が重要であるという文化が育っています。
先にも述べたように安全性(毒性)分野は薬理活性研究分野と異なり、メカニズムを中心に安全性(毒性)を議論することが難しいため、評価や予測値の高さとデータ解析の信頼性が強く求められます。

これら3項目の他に、細かなところでインシリコ上での安全性(毒性)評価/予測を困難とする様々な要因があります。

例えば、
(a)サンプルデータの信頼性の問題 ( Problems of the low reliability of the used sample data )
様々な実験プロトコルがあり、結果として同じ安全性(毒性)項目であっても、同じ化合物が毒性と安全性の二つに評価され、矛盾が生じることがある。また、実験動物種や実験プロトコルが異なるものを一緒にしてデータ解析を行っていいのか、分けてデータ解析を行うのか等の問題がある。いずれにしても、単にポジ、ネガでデータ解析を行うと先の矛盾データや、その他の様々な条件の違いからくる要因のため、後で苦労することになる。
*例えば魚毒性の場合、極端にいうと魚の種類の数だけ実験プロトコルがあると言えます。薬理活性ではせいぜい数種類か、一つに統一されます。

(b)サンプルデータの偏りの問題 ( Problems of the large disproportion of class sample population )
サンプルデータの収集上、サンプルデータが一方のクラスに極端に傾いていることが多い。
このようなサンプルデータの場合、データ解析の実行が困難になり、無理に行ったとしてもよい結果に結び付かない。昔、私が安全性(毒性)評価の委託を受けて、そのデータ解析に使うサンプルデータを受け取った時、全体としては約3千近くのサンプルをいただきましたのですが、そのうちポジ゙サンプルは約30未満しかありませんでした。これでは、データ解析自体が出来ません。無理に行うことは可能で、この場合は全体で98%程度の分類率を簡単に達成しました。しかしこの場合、すべてのサンプルをネガと判定する判別関数が作成されます。全体がネガであっても、ポジが30/約3000なので98%以上の分類精度が出ますね。

この他に、安全性(毒性)はメカニズムが極めて複雑なために、実験至上主義で、インシリコが得意とする要因解析等の理由づけは殆ど行わないこと。 サンプルの特性として、ポジ/ネガの二クラス分類を行うと、薬理活性分野と異なりポジとネガの混在領域の大きさが際立って大きくなること。すなわち、分類率が悪くなるという事です。

なんやかんやと思いつくままに書いてきましたが、ようするに安全性(毒性)評価/予測は薬理活性分野と異なる特殊な要因や研究文化の違いにより、インシリコによる評価/予測の実施が極めて難しい分野であることが、雰囲気でわかっていただければ十分です。

2012/02/28

◇ KY(K-step Yard sampling) 法開発のきっかけについて   ( Opportunity of the development of the KY-methods )

 なぜこのようなデータ解析手法が必要となり、開発することになったのかについて以下にて話します。

  私が行っていた富士通での仕事は、化学多変量解析/パターン認識手法を用いた構造-活性相関やドラグデザイン等を行うことでした。会社にいた時から、構造-活性相関/ドラグデザイン支援システムの開発やADAPT(1)の富士通マシンへの移植、さらには実際にデータ解析の依頼を受け、ADAPTを用いて従来手法によるデータ解析を長く続けてきました。

1)ADAPT (Automated Data Analysis by Pattern recognition Techniques) は、私が留学先で行った研究(1979年)で用いた化学多変量解析/パターン認識(ケモメトリックス)支援システムです。私は、米国ペンシルバニア州立大学のP.C.Jurs教授の下にリサーチアソシエートとして留学しましたが、ADAPTはJurs教授グループで開発されており、これが世界初の化学変量解析/パターン認識(ケモメトリックス)研究支援システムとなります。私の研究は、このADAPTシステムを用いたインシリコ(コンピュータ)による発がん性予測でした。約30年も前にインシリコ上で毒性予測を行っていたことになります。その後、日本に帰ってからは安全性(毒性)関連の仕事は殆どなく、殆どが薬理活性を目的とした構造-活性相関やドラグデザイン関連の仕事となりました。また、データ解析ということで、このデータ解析のノウハウを利用したバイオテクノロジー関連研究分野での仕事が一時は多くを占めるようになりましたが、データ解析技術はどの分野でも利用できるので、多くの経験を積むことが出来ました。
 現在、ADAPTは最新のGUI技術を取り入れ、かつPC上で稼働するようにしてModelBuilderという名前で(株)富士通九州システムズから販売されています。

◇ 適用分野の変化(薬理活性から毒性へ)と従来手法の限界   ( A limit of conventional methods based on the change of application fields from activity to toxicity )

 薬理活性を対象とした創薬系でのデータ解析(構造-活性相関やドラグデザイン)は、現在までに開発されている従来手法でも十分に解析目的を達成することが出来ます。しかし、近年になり安全性(毒性)関連のシステム開発やデータ解析の依頼が多くなり、この安全性(毒性)関連分野のデータ解析に携わるようになることで、この薬理活性解析での常識が覆りました。つまり、薬理活性と異なり安全性(毒性)分野では、従来から展開されている通常の多変量解析/パターン認識手法では線形/非線形といったデータ解析手法の差異にかかわらず、良い結果を得ることは極めて難しいということです。

◇ 適用分野の違いによる、データ解析適用の困難性の違い(薬理活性と安全性(毒性))( Difference in difficulty of the data analysis by the difference of the application field ( activity and toxicity ))

先にも述べましたように、薬理活性を目的変数とした構造-活性相関やドラグデザイン研究では、現在展開されている化学多変量解析/パターン認識(ケモメトリックス)のパワーで十分です。日常的には、充分にお釣りがくるレベルの解析が実行できていました。特に、ADAPTはこの分野のシステムとして最長の歴史と最高のデータ解析パワーを有しており、薬理活性データ解析では充分な結果の達成と討論を行うことが出来ました。

しかし、時代の変化とともに最近ではADMEや安全性(毒性)に関するデータ解析依頼が多くなってきました。特に、安全性(毒性)を目的変数としたデータ解析では、薬理活性と異なり、従来手法によるデータ解析手法の単純適用ではどんなに努力しても良い結果が得られないことを肌で実感するようになりました。私の経験では最強のADAPTを用いても、多くの場合80から90%で、サンプル数が多くなってくると70から、高くとも80%程度になってしまいます。このようにデータ解析に用いるデータ解析ソフトウエアとしてはこの分野で頂点に立つADAPTを用いて、且つ、私が培ってきたこの種のソフトウエアの利用ノウハウを駆使してもこの程度です。

* 学会発表やパンフレットの「見せかけの指標」と、現場で行う実際のデータ解析とのギャップ
 一般的に、学会発表やパンフレット等の広告では結構高い値が示され、その気になってしまいがちですが、実際の現場で行うデータ解析では様々な条件からもっと低い値となるのが現状です。このように、現実のデータ解析と学会発表やパンフレットのデータ解析結果の値とのギャップが生じる大きな原因としては、データ解析の本質を無視し、「見せかけの指標」だけを良くすることに集中することの弊害と考えます。データ解析では様々な条件を変えて行うことが可能であり、意図的でなく、また本人が気付かないとしても嘘をつかずにかなり良い値を示すことは可能です。ちょうど、理想的な環境下での瞬間風速と、暴風雨の中での瞬間風速のような違いと言えるでしょう。どちらも瞬間風速であることには変わりありません。
 単に、発表やパンフレット等に用いられる「見せかけの指標」に頼ることなく、データ解析の本質を洞察することが出来れば、高い値になった理由がケースバイケースの様々な要因の結果なのか、あるいはこれらの総合的な結果としての効果なのか等が見えてくるようになります。この種の悪しき事例は、世界的に公表されているパブリックで著名なデータベースでもしばしば見られます。この原因は、「見せかけの指標」重視のあまり、データ解析の本質がおろそかになったためと考えます。

・線形重回帰で常に相関係数(R)、および決定係数(R2)を1(100%)とするアプローチ
 フェイクパラメータの適用による完全フィッティングの実現

・サンプル空間に合わせて解析を行うアプローチと、サンプル空間を作り直すアプローチ
 科学に基づいたアプローチと、科学と関係のないアプローチ(線形及び非線形問題)
  (a) 二クラス分類手法
  (b) フィッティング(重回帰)関連手法

まだブログには書いておりませんが、上記の他にも「見せかけの指標」を向上するアプローチが種々存在します。無意識のうちに使っていることが殆どでしょうが、正しいデータ解析を行うためには重要なことですので、よく意識しておいてください。これらについてはインシリコデータのブログで順次解説してゆきます。

最近の学会発表では非線形解析手法の発展につれて、先に述べた「見せかけの指標」だけでは予測率の低下が著しいので、クロスバリデーション(CV:Cross Varidation)を行う事が一般的になっています。このCVといえども限界があります。これも、インシリコデータのブログで取り上げてゆく予定です。
 このような発表用の「見せかけの指標」を信じるだけだと、実際にデータ解析を行う時に苦労や失敗を繰り返すことになります。難しいかもしれませんが、実際に自分で内容を理解し、影にある見えない操作等のポイントを見ることが出来るようにすることが必要です。

 次回は、薬理活性と異なり、なぜ安全性(毒性)分野のデータ解析が極めて困難となるかについて書いてみます。

KY法とは何でしょう: What is the KY(K-step Yard sampling) methods

◇ KY法とは何でしょうか?; What is the "KY-methods" ?

  KY法とは、(株)インシリコデータの湯田が開発した、新時代にふさわしい優れた機能を持つ全く新しい多変量解析/パターン認識データ解析手法です。
The KY (K-step Yard sampling) methods are the newly coming the most powerfull multi-variate and pattern recognition methods ever made.

  以下に示したことが、KY法の優れた特徴となります? 
Spatial and the most typical features are listed below.


* 二クラス分類では、常に完全分類を実現
      ( On 2- class discriminant analysis, the KY-methods always carry out parfect (100%) classification regardless of a sample number and distribution status)
* フィッティング(重回帰等)では、極端に高い相関/決定係数を実現
      ( On fitting methods (linear, non-linear regression, the KY-methods always attain
quite high coefficient of correlation and determination values regardless of a sample number and distribution status)  


  KY法は、従来手法と比較して段違いのデータ解析パフォーマンスを実現します。例えば、二クラス分類ではサンプル数の大小にかかわらず、またサンプル同士の重なり程度に関係なく、つねに完全(100%)分類を実現します。
  また、重回帰等のフィッティングにおいても、二クラス分類と同様にサンプル数がどんなに増えても、またサンプル分散の程度が極めて悪いサンプル群であっても、従来手法による解析結果の相関(R)/決定係数(R2)とは比較にならないほど高い値を実現します。


  日常的にデータ解析で良い結果が得られずに悩んでいる研究者の方々は、こんなことはあり得ないと信じられないでしょう。しかし、同じデータを用いて解析すると、サンプル数が多い、あるいはサンプル間の重なり度が高い等の理由で、従来手法では実現できなかった100%(完全)分類が、KY法の適用により簡単に実現されてしまいます。実際にKY法の発表を聴いた研究者の方からは、「確かに、聴いて納得したけれど、100%(完全)分類というと誰も信じませんよ、95から98%といった方がいいですよ」と助言されました。しかし、事実は事実です。
  順を追ってKY法の内容を説明して行きますが、いかに従来手法とは異なる、型破りの発想をしたデータ解析手法であるかをご理解いただけるかと思います。まさに、データ解析分野でのKY(空気が読めない)な手法です。これくらい型破りな手法でなければ、従来手法の限界を超えることは出来ないでしょう。