◇新年のご挨拶
昨年は、本ブログ上でのKY法に関する報告は殆どしておりませんでした。KY法関連作業や、計算毒性学研究会の立ち上げやその関連作業、JASIS展示会やランチョンセミナー対応、日本動物実験代替法学会大会での企業展示等でパタパタしており、なかなかアップの時間が取れなかったので申し訳ありませんでした。
現在、KY法の基本は殆ど出来上がっております。昨年はKY法と他の一般的な多変量解析/パターン認識手法を組み合わせることで、従来手法単独でデータ解析を行なった場合の適用結果を大幅に改善出来るということを中心に展開しておりました。例えば、KY法+PCAやKY法+クラスタリング等です。まだまだいろいろな組み合わせが考えられますので、ご期待ください。
◇KY法特許関連の報告
昨年末に、EUよりKY法の特許に関する審査官からのクレームがきて、その内容に対応したところです。KY法に関する特許は殆ど完了し、EUでの特許が残っていましたが、これで特許関係の作業は完了するものと期待しています。今年はKY法にとりましてよい年になるように願っております。
KY法自体がクラス分類とフィッティング手法で総数6種類の手法があり、関連手法が一つで総計7種類となります。これらを日本と米国およびEUに出願すると総計で21出願となりました。これらの対応に、かれこれ6年以上はかかってきました。特許の審査期間の短期化を目指して各国が頑張っていますが、結構時間がかかることは事実です。今回の特許出願作業は私の家内が国内/国外出願を見てきたので私たちのレスポンスは早かったはずですが、それでも数年単位の時間がかかります。特許出願に関する現実はまだまだ厳しいですね・・。
◇データ解析手法を巡る大きな環境の変化(ビッグデータやIoT)とKY法の役割
既にご存じのようにビッグデータが大きく取り上げられるようになってきました。またIoTの展開により、データ蓄積のスピードが急劇に加速されると予想されます。データ解析と言えば多変量解析/パターン認識ですが、今回はこれら技術のみならず人工知能技術を用いてのデータ処理が大きく展開されようとしています。
従来から展開されてきた多変量解析/パターン認識は、データ解析、特に要因解析力を重視しているため、ノイズデータに弱く、扱えるサンプル数もさほど大きくないという事が前提でした。従来手法が持つこのような特性は、現在話題となっているビッグデータへの直接的な対応がかなり難しいことを想像させるに十分です。従って、ビッグデータを扱える新世代のデータ解析手法の展開が急務となっています。この点で、基本原理上から、大量データを扱え、大量データを扱ってもその解析精度を大幅に向上させる事が出来るKY法の役割は今後急速に増大してゆくものと期待しております。
◇人工知能とKY法
ビッグデータ時代が来ると同時に、データ爆発に対応する手法としての人工知能が大きく期待されています。ニューラルネットワークによる深層学習等は、今後急速に原理の解明や展開がなされるはずです。このような新世代の人工知能技術とKY法の連携や融合をインシリコデータの大きな課題として、今後積極的に取り入れてゆきたいと考えております。
新しい時代に向けて頑張りますので、よろしくご支援お願い致します。
以上
湯田 浩太郎